業界研究の合間に!金融系読み物3選
基礎知識、本紹介、雑学
19年6月04日
就職先として学生に人気の業界の1つが金融業界です。私は大学で金融を学んでいることもあり、授業で金融業界の話を聞く機会が多いです。授業の参考文献には難しい論文だけでなく、小説やドラマも含まれています。かの有名な『半沢直樹』も、授業で扱ったのをきっかけに初めてきちんと見ました。さすが社会現象になるだけあって、面白いんですよね。ですが、面白い金融作品はそれだけではないんです!今回は、私のおすすめを3作紹介します。金融業界を目指す方もそうでない方も、業界研究の傍らに読んでみませんか?
『ハゲタカ』真山 仁(講談社 2004)
一作目は、真山仁さんの『ハゲタカ』シリーズです。過去にはNHKとテレビ朝日系でドラマ化されています。外資系の投資ファンドと国内銀行の対立を軸に不良債権や企業買収の様子を描く本作は、1997年頃の日本を舞台としています。日本銀行の調査・研究「1997年度の金融および経済の動向(要旨)」を合わせて読んでいただけると理解が深まると思いますが、この年から日本は長い不景気に入っていきます。バブルが弾け首が回らなくなった企業を売り叩きたいファンドと、メインバンクの威信をかけて企業再生を目指す銀行との戦いは手に汗握るものがあります。また、作中に出てくる企業はすべて架空ではあるもののモデルとなった企業がありますので、各企業の背景を調べてみるとさらに楽しめますよ。
『わたしがベアリングス銀行をつぶした』ニック・リーソン(新潮社 1997)
衝撃的なタイトルの二作目は、ノンフィクションです。ベアリングス銀行とは、かつて「女王陛下の銀行」と呼ばれ、1995年に経営破綻したイギリスの名門投資銀行のことです。200年以上の歴史を持つ大手銀行でした。著者のニックリーソンは、ベアリングス銀行のシンガポール支店で先物取引を一手に引き受ける“凄腕トレーダー”でした。では彼がなぜ銀行をつぶすことになったのか? 1995年、日本に何が起こったかがヒントです。詳しくは著書、もしくは映画『マネー・トレーダー 銀行崩壊』をご覧ください。興味がある方は、併せて井口俊英『告白』も読んでください。銀行がつぶれるという話は、決して夢物語ではないのですから。
『しんがり 山一證券 最後の12人』清武英利(講談社 2013)
最後は、比較的新しいノンフィクション小説です。山一證券は、かつて四大証券と呼ばれた証券会社の一つで、1997年に自主廃業しました。この話の背景にあるのは、とある総会屋への不正な利益供与の事実です。是非そのいきさつを頭に入れたうえで読んでみてほしいと思います。最後まで会社に留まった12人とはどんな人々だったのか、彼らはどうして留まることを決めたのか、そして自主廃業を迫られるほどに山一證券の負債が膨れ上がった理由は何だったのか。すべてが事実であるからこそ、内容の一つ一つにやるせない気持ちを抱いてしまいました。
最後に
今回は、詳しく掘り下げることで業界研究に繫がりそうな作品を選んでみました。前知識なしでももちろん楽しめますし、聞き覚えのない言葉や時代背景を調べることでより深く理解ができると思います。気になる作品があれば、是非読んでみてくださいね。